よど号の消息
今から、36年前に「よど号ハイジャック事件」というのがあったそうです。
報道番組やらなんやらで、今でも時々話題になる事件ですね。
その時の機長が、先日亡くなったそうで、これも、最近の週刊誌で取り上げられていました。
「よど号」とは、ハイジャックされた飛行機に付けられた名前です。当時の日本航空は、航空機1機ごとに愛称を付けていたようです。
この飛行機は、ボーイング727-100型。"本名"である、登録記号はJA8315でした。
この事件のあと、よど号はどうなったのでしょう。数年前のテレビ番組で、「今はアメリカでVIP専用機として使われている」と紹介されていました。WikipediaのB727の項目を見ても、そう書かれています。
興味があるので、その消息をネットの世界で追いかけてみました。
ソースはこちら。
http://rzjets.net/
1966年4月
JA8315として、日本航空で仕事をはじめます。
1970年3月
ハイジャックされ、北朝鮮に着陸。でも、無事に日本に帰ってきます。
1972年4月
東亜国内航空に転属します。もともと、TDAの機体で、日本航空にリースされていたようです。
1976年3月
日本から引退し、ドイツのHAPAG-LLOYD社に売却されました。引退のとき、ニュースになったのかはわかりません。HAPAG-LLOYDは海運会社で、クルーズ船の乗客を運ぶのにB727を使用したようです。このときに、VIPチャーター機仕様に改造されたのじゃないかと思います。登録記号はD-AHLSになりました。
1991年10月
Air Service Internationalという、おそらくチャーター会社に売られます。登録記号はVR-BRR(バミューダ)、VR-CRB(ケイマン諸島)など、タックスヘイブンのものが割り当てられています。
1994年7月
アメリカに売られます。N511DBという登録記号で、いくつかの会社を転々とします。
VIPチャーター機として運用されていたようで、大西洋を越えてヨーロッパにも行っていたようです。この時点で機齢30年近く。幸運だったと思います。
2000年の時点で、マッカラン空港(ラスベガス)にストア状態で置かれている写真があり、これでもう飛ぶことはないかと思いました。
2002年7月
スワジランドに売却されました。アフリカの南の方の国です。登録記号は3D-JNM。
エンジンに、Stage3と書かれた写真がありました。たぶん、米国時代に消音対策が施されていたものと思います。
2004年8月
同じアフリカのコンゴに売却されました。登録記号は9Q-CBF。機齢38年です。
キンシャサをベースにVIPフライト機として使用されているようです。少なくとも去年の時点で、ヨーロッパで写真が撮られています。
これが、現在のところ、彼女の最後の消息です。
彼女は、アフリカの空を、たぶん今でも飛んでいます。「よど号事件」なんて、誰も知らない国で。
幸運な機体なのだと思います。
中古のB727は、安く手に入り、操縦資格を持ったパイロットも多いはずです。稼働率の低いチャーター機には最適だったのでしょう。しかも、3基のエンジンがあるので、オーバーシーでも使えます。燃費は良くないでしょうけど、VIPチャーター機として使う分には、たぶんそれほど問題じゃないはずです。
でも、こうしてたどり着いたアフリカが、きっと、最後の地じゃないかと思います。
機齢40年。普通なら、とっくにスクラップになってます。
いい意味なのか、悪い意味なのかわかりませんけど、日本にとって記念すべき飛行機です。もし、活躍が終わる日が来たら、日本で保存できないものかと、思います。
そりゃあ、お金はかかるでしょうけど、ばかみたいな箱ものが田舎にはいっぱいあります。屋根つきの航空博物館の一つくらい作れるでしょうに。
国産旅客機の開発もいいけど、日本には、ちゃんと保存されている飛行機がほとんどありません。今日退役したYS-11だって、成田や各務原で雨ざらしになっているものがあるだけです。
飛行機を、貴重な近代遺産だと思わない国に、飛行機が作れるわけがないんじゃないか。そんなことを、少しだけ思います。








